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クラウドネイティブ化が加速し、VM・コンテナ・サーバーレスが混在する環境では、ワークロード単位でのセキュリティが不可欠です。その中心となるのが CWPP(Cloud Workload Protection Platform) です。
しかし、市場には多様な製品が存在し、単純な比較では本質的な優劣が分かりづらいのが現実です。本記事では、“失敗しない CWPP製品を選定する”ために、押さえるべき 5 つの評価軸を体系的に解説します。
CWPPとは?選定の前に押さえるべき基本概念
CWPP(Cloud Workload Protection Platform)は、クラウド上で動作する以下のワークロードを保護するためのセキュリティ製品です。
- Kubernetes / コンテナ
- 仮想マシン(VM)
- サーバーレス(AWS Lambda / Azure Functions)
攻撃者の侵入経路は設定ミスだけではなく、実行中のワークロード内部(ランタイム)にも及ぶため、CWPPは「最後の防衛ライン」として重要性が急上昇しています。
失敗しないCWPP製品の選び方:5つのポイント
次のポイントを押さえることで、どんな規模の組織でもクラウドワークロードを正しく保護するための製品を導入できます。
1. 対応できるワークロード範囲と環境の網羅性
まず確認すべきポイントは、自社のワークロードをすべてカバーできるかという点です。
チェックすべき要素は次のとおりです。
- Kubernetes(EKS / AKS / GKE / On-Prem K8s)対応
- コンテナ実行基盤(ECS / Docker)
- 仮想マシン(Linux / Windows)
- サーバーレス対応の有無
- マルチクラウド(AWS / Azure / GCP)対応
- ハイブリッド環境(オンプレ K8s、VMware など)への対応
特に Kubernetes を運用している企業では、K8s ネイティブの可視性の深さが製品間で大きく異なります。
2. 脅威検出の精度とアラートノイズの少なさ
CWPP を選ぶうえでもっとも重要なのが ランタイム脅威検出の精度 です。
優れた CWPP の特徴
- システムコール(syscall)レベルでの動作監視
- コンテナ逃走(Container Escape)の検知
- Kubernetes API の不正アクセス検知
- ML(機械学習)による異常行動検知
- アラートノイズを自動的に抑制する機能(学習型・ベースライン型)
運用の現場でよく起きる失敗が、「アラートが多すぎて運用できなくなる」という問題です。 誤検知の多さは製品の“質”に直結するため、PoC 段階で必ず検証すべき項目です。
3. CI/CDパイプラインとの統合性と自動化機能
CWPP はランタイムだけでなく、ビルド〜デプロイ段階での脆弱性管理にも貢献します。
チェックすべき統合項目
- GitHub Actions / GitLab CI / Jenkins / ArgoCD との統合
- コンテナイメージスキャンの自動実行
- 実効脆弱性(実際に使われているパッケージだけの評価)
- IaC(Terraform / CloudFormation)との連携
- SBOM の自動生成
高度な連携ができる製品ほど、 開発スピードを落とさずに DevSecOps を実現できます。
4. エージェント運用の容易さとパフォーマンスへの影響
CWPP(Cloud Workload Protection Platform)は、大きく エージェントベース(DaemonSet)方式 と エージェントレス方式 の 2 種類に分かれます。
特に Kubernetes を本格運用する企業にとって、この方式選択を誤ると、期待した保護を得られず 導入失敗の主要因 となります。
エージェントベース方式の特徴
- 最深度の可視性を提供(システムコールレベルまで取得可能)
- 高精度なランタイム検知が可能(syscall ベースのふるまい検知)
- デメリット:管理工数がかかる、アップデート負荷がある
エージェントを各ノードに配置するため導入・管理の手間は発生しますが、Kubernetes のランタイム挙動を正確に把握できるため、実運用にもっとも適した方式です。
エージェントレス方式の特徴
- 導入が容易で、初期セットアップの負担が少ない
- API 監査が中心で、コンテナ内部の“ふるまい”までは追えない
- そのため Kubernetes の攻撃検知としては不十分
可視性が限定的なため、実際の脅威検知やランタイム保護を必要とするケースでは限界があります。
Kubernetes を守るならエージェントベース一択
Kubernetes のランタイム保護は挙動監視が本質であるため、エージェントベースが唯一実用的な選択肢です。
5. ダッシュボードの可視化力とレポーティング能力
優れた CWPP は、複雑なクラウド環境を 一目で理解できる形にまとめてくれます。
- 攻撃チェーンの可視化(Kill Chain / MITRE ATT&CK)
- 脆弱性・設定ミス・ランタイム挙動を統合したビュー
- Kubernetes ネイティブな可視化(ノード / Pod / Namespace)
- コンプライアンス(CIS / PCI / NIST)レポート自動生成
- Ephemeral コンテナ対応の監査ログ
特に「攻撃の流れをグラフィカルに表示できるか」は、 SOC チームや SRE チームの運用効率に大きく影響します。
CWPP導入がうまくいかない要因
CWPP を導入したものの、運用に乗らなかったり、現場の負担になってしまうケースには、いくつか共通する要因があります。
- ランタイム可視性が不足している製品を選んでしまう
エージェントレス中心の製品にありがちです。 - アラートノイズが過多で運用が失敗
実運用では「通知が多すぎる」ことが最大の問題となり、重要なアラートを見逃してしまいます。 - 自社の CI/CD と統合できず Shift Left が形骸化
開発スピードが低下し、Fix フローもうまく回らなくなる。 - PoC を本番に近い環境で行わなかった
特にシステムコール監視の負荷は実環境でしか分からない。
PoCで必ず確認すべき9つのチェック項目
- 実際の脅威シナリオに対する検知精度
- 誤検知の量
- アラートの自動抑制(学習機能)の有無
- CI/CD との統合度
- エージェントのリソース消費
- DaemonSet の安定性
- Kubernetes API の監査精度
- 脆弱性の「優先順位づけ」ロジック
- ダッシュボードの分かりやすさ
この 9 項目を満たすかどうかで、製品の品質はほぼ決まります。
まとめ:最適なCWPPは「ランタイム可視性 × ノイズ抑制 × DevSecOps 自動化」で選ぶ
CWPP 製品の導入は、クラウドセキュリティの中でも特に重要な対策です。
CWPP製品選定、3つの要件
- ランタイムでの深い可視性(システムコール・ レベル)
- アラートノイズを抑制できる高精度な検知能力
- CI/CD と統合し DevSecOps を加速できること
この 3 つの要件を満たしていない製品は、導入後の運用で必ず苦労します。
Sisdigは、CWPP に必要な「深い可視性 × 誤検知の少なさ × 自動化」を実現
CWPP の本質は 「実際に動いているワークロードのふるまいを、どれだけ正確に理解できるか」 にあります。 Sysdig の創業者、Loris Degioanni(ロリス・デジョアーニ)は Wireshark の開発者です。Sysdigは、ネットワークパケットやシステムコールを深く解析する技術をベースに、クラウドワークロードの内部挙動をリアルタイムで可視化できる 数少ないプラットフォームです。
Sysdig が選ばれる理由
- システムコール(syscall)レベルのランタイム監視
Falco エンジンにより、コンテナ逃走・権限昇格・Kubernetes API 悪用などを高精度で検知。 - 圧倒的にノイズが少ない検知品質
実行中のプロセス・ネットワーク・ファイル操作を関連付けて分析するため、“本当に危険なものだけ”をアラート。 - Kubernetes ネイティブの可視化
Pod・Namespace・Service などの K8s コンテキストと脅威を関連付けて表示。 - DevSecOps の自動化を強力に支援
SBOM 生成、CI/CD でのイメージスキャン、リークリスクの優先順位付けまで一元化。 - VM・コンテナ・サーバーレスを統合保護
マルチクラウド・ハイブリッド環境のワークロードも一つのプラットフォームで見える化。
結論:Kubernetes を守るなら、Sysdig のエージェントベース方式がもっとも実用的
Kubernetes のランタイムセキュリティは 「リアルタイムでの挙動監視が最重要課題」 です。 システムコールまで追跡できる Sysdig なら、 攻撃者の動きを確実に捉え、誤検知を最小化し、運用負荷を劇的に軽減できます。
CWPP 選定で迷っている企業ほど、Sysdig のアプローチは大きな差別化要因になります。 「深い可視性 × 実運用でノイズを出さない安定性」 を重視するなら、Sysdig の検討をお勧めします。