< ブログ一覧に戻る

AI時代のクラウドセキュリティ

Reiko Nishii
AI時代のクラウドセキュリティ
執筆者
Reiko Nishii
@
AI時代のクラウドセキュリティ
Published:
February 28, 2026
この記事の内容
シスディグによるファルコフィード

Falco Feedsは、オープンソースに焦点を当てた企業に、新しい脅威が発見されると継続的に更新される専門家が作成したルールにアクセスできるようにすることで、Falcoの力を拡大します。

さらに詳しく
Green background with a circular icon on the left and three bullet points listing: Automatically detect threats, Eliminate rule maintenance, Stay compliant, with three black and white cursor arrows pointing at the text.

クラウドセキュリティの脅威とは

クラウド活用の加速とともに、サイバー攻撃の手口は急速に進化しています。かつての「うっかりミス(設定不備)」を突く攻撃から、より巧妙かつ組織的な手法へとシフトが進んでいます。2026年現在、企業が直面している主要な脅威は次の3つに整理できます。

「設定ミス」から「アイデンティティ悪用」へのシフト

近年のクラウドセキュリティ侵害では、攻撃の起点が技術的な脆弱性の悪用から、正規の認証情報や権限の乗っ取りへと大きくシフトしています。攻撃者は盗み出したIDやアクセスキーを利用して正規ユーザーになりすまし、システム内部を自由に横断できる状態を作り出します。

こうした攻撃の主な経路となっているのが、IAM(Identity and Access Management)の設定ミスや過剰な権限付与です。必要以上に広い権限が与えられたアカウントは、一度侵害されると被害が一気に拡大するリスクを抱えています。また、多要素認証(MFA)の未設定や、長期間放置されたアクセスキーといった管理上の盲点も、攻撃者にとって格好の侵入口となります。

Sysdigの調査によれば、クラウド環境では実際にどの権限が使用されているのかを正確に把握することが難しく、意図せず過剰な権限が付与されたままになっているケースが多く見られます。こうした「見えないリスク」が積み重なることで、クラウド環境全体の攻撃対象領域は静かに、しかし確実に拡大していきます。

そのため、クラウド環境における権限の利用状況を継続的に可視化し、最小権限の状態へと是正していく仕組みが不可欠になります。

AIによる攻撃の高速化

攻撃者はAIを武器に、脆弱なターゲットの発見からエクスプロイト(攻撃実行)までのプロセスを、かつてない速度で自動化しています。

Sysdigの「555ベンチマーク」が示す衝撃的な現実

攻撃者がクラウド環境に侵入してから目的を達成するまでに要する時間は、わずか10分以内とされています。さらに、脆弱なターゲットを発見してから侵害が完了するまでの時間は、AIの活用によって今後さらに短縮されると考えられています。

この現実に対応するため、Sysdigは業界の新たな対応目標として「555ベンチマーク」を提唱しています。

これは、5秒以内に検知、5分以内にトリアージ、5分以内に対応という、クラウド環境における迅速なインシデント対応を目指す指標です。

従来の「週次スキャン」や「日次レポート」といった運用では、攻撃が完了した後にしか異常に気づけない可能性があります。AIによって高速化された現代の攻撃では、セキュリティチームが状況を把握する前に、すでにデータの持ち出しが完了しているケースも珍しくありません。

そのため、クラウドセキュリティでは「事後の分析」ではなく、「リアルタイムで検知し即座に対応する」運用モデルへの転換が求められています。

サプライチェーンの脆弱性

現代のクラウド環境におけるセキュリティリスクは、組織が直接管理するシステムだけにとどまりません。利用しているSaaSサービス、オープンソースソフトウェア(OSS)、クラウドプロバイダーのマネージドサービスなど、自社で開発・管理していないコンポーネントを経由した「間接的な侵入」が増加しています。

その代表的な手口の一つが、OSSパッケージに悪意あるコードを混入させる、いわゆるサプライチェーン汚染です。広く利用されているライブラリに一度不正なコードが紛れ込むと、それを依存関係として利用する多数のシステムに影響が連鎖する可能性があります。また、コードのビルドやデプロイを自動化するCI/CDパイプラインへの不正アクセスも深刻な脅威です。開発プロセスそのものを踏み台にし、本番環境への侵入を試みる攻撃も確認されています。

さらに近年では、AIエージェントや生成AIモデルを組み込んだシステムが、新たな攻撃対象として浮上しています。これらの技術は急速に普及する一方で、セキュリティ設計が十分に追いついていないケースも多く、攻撃者にとって新たな侵入口となりつつあります。

こうした状況を踏まえると、自社の「信頼の境界線」がどこまで広がっているのかを改めて見直すことが重要です。自社のコードだけでなく、依存するライブラリや外部サービス、AIコンポーネントを含めたクラウドサプライチェーン全体を視野に入れたセキュリティ対策が求められています。

そのため、開発から本番運用までのサプライチェーン全体を可視化し、継続的にリスクを監視するセキュリティアプローチが不可欠となっています。

クラウドセキュリティ脅威のビジネスへの影響

クラウドセキュリティのインシデントは、ともすれば「技術部門が対処すべき問題」として捉えられがちです。しかし実態は、企業の存続そのものに関わる経営リスクであり、上層部への予算申請においても、こうした「ビジネスインパクト」を具体的な数字と言葉で示すことが説得力を生みます。

直接的な経済損失

その深刻さは、直接的な経済損失の規模からも明らかです。IBMの「Cost of a Data Breach Report」によれば、データ侵害1件あたりの平均コストは約445万ドルに達しています。また、ITシステムの停止がもたらす損失も甚大です。ITICやUptime Instituteの調査では、小売・金融・製造業といった業種において、システム停止による損失が1時間あたり100万〜500万ドル(数千万円から数億円規模)に達するケースも報告されています。

さらに、個人情報や知的財産といった機密データの漏えいが発生した場合、賠償金や調査費用、システム復旧コストは一時的な支出にとどまりません。ブランド価値の毀損や顧客離れ、規制対応などの影響が長期にわたり続くことで、企業財務に継続的な負担をもたらします。

こうしたインシデントの「後処理」にかかるコストの大きさを正しく理解することが、クラウドセキュリティへの事前投資の必要性を経営層に伝えるうえでの出発点となります。

つまり、クラウドセキュリティは単なるIT部門の課題ではなく、企業の経営リスクを左右する重要な経営テーマになっているのです。

ブランド毀損と信頼失墜

セキュリティ事故がひとたびメディアに報道されると、顧客・取引先・投資家からの信頼を一気に失いかねません。ブランドへのダメージは財務諸表にすぐ表れるわけではありませんが、その影響は長期にわたり企業活動の基盤を揺るがします。

具体的な影響として、まず顧客データの漏えいは解約率の上昇を招きます。さらに、失った顧客を補うための新規獲得コストの増加にもつながります。加えて、事故後の対応に伴う「後処理コスト」も見過ごせません。再発防止策の実装、外部監査への対応、広報・危機管理対応など、インシデント収束後に発生する費用が、事故による直接損失を上回るケースも少なくありません。

また国内では、個人情報保護法の厳格化により、情報漏えい発生時の報告義務や公表要件が強化されています。法的対応に要する工数やコストは確実に増大しており、もはや「事後対応で何とかなる」という前提は成立しなくなっています。

セキュリティへの事前投資を怠ることのコストは、インシデント発生後にこそ明らかになります。だからこそ、クラウドセキュリティを単なるIT対策ではなく、企業価値を守るための経営課題として捉えることが重要です。

コンプライアンス違反のリスク

クラウドセキュリティをめぐる規制環境は、年々厳しさを増しています。EUの金融機関を対象としたDORA(デジタル運用レジリエンス法)に代表されるように、近年の業界規制はセキュリティの技術要件にまで踏み込んで強化されており、企業に求められる対応水準は着実に引き上げられています。

こうした規制に違反した場合のリスクは、単なる制裁金の支払いにとどまりません。事業継続の停止命令や、業界団体・規制当局からの認定取り消しといった措置が取られれば、企業の事業基盤そのものが揺らぐ可能性があります。財務的なペナルティ以上に、こうした事業活動の停止というリスクこそが、経営層にとって最も重大な脅威といえるでしょう。

さらに、規制当局への対応では、セキュリティ対策が適切に実施されていることを示*証跡(エビデンス)の整備が不可欠です。これらの証跡を継続的かつ確実に収集・保管するためには、クラウド環境を常時監視する仕組みが前提となります。コンプライアンス対応は一時的なプロジェクトではなく、日常的な運用の中に組み込まれた継続的な体制として整備する必要があります。

そのため、クラウド環境全体の状態を継続的に可視化し、コンプライアンス状況をリアルタイムで把握できるセキュリティ基盤が重要になります。

必要な対策の考え方

脅威の全貌が見えたところで、次に「どう考えてセキュリティを設計するか」という思想の転換が必要です。従来の防御モデルのままでは、速度と複雑さを増す現代のクラウド環境に対応できません。

「防ぐ」から「早期検知・対応」へ:Assume Breach の発想

完璧な防御は存在しない」――これが現代のクラウドセキュリティにおける大前提です。ゼロデイ脆弱性、AIによる自動化された攻撃、内部不正など、あらゆる侵入経路を完全に遮断することは現実的ではありません。

こうした前提に立った考え方が、Assume Breach(侵害前提)です。これは「いつか侵入される可能性がある」ことを前提に、侵入そのものを完全に防ぐのではなく、侵入された場合でも被害を最小化できる仕組みを設計の中心に据えるというアプローチです。

重要なのは、侵入後に発生するラテラルムーブメント(横方向の拡散)をいかに早く検知し、被害の拡大を止められるかです。攻撃を完全に防ぐことが難しい時代においては、侵入後の挙動を可視化し、迅速に対応できる体制を整えることが、クラウドセキュリティの重要なポイントとなります。

シフトレフトとシールドライトの両立

クラウドネイティブ開発の時代において、セキュリティは開発の「前」と「後」の両方で機能させることが不可欠です。その考え方を体現するのが、「シフトレフト(Shift Left)」と「シールドライト(Shield Right)」という二つのアプローチです。

シフトレフトとは、セキュリティ検証を開発の早い段階に組み込む考え方です。コードレビューやIaC(Infrastructure as Code)のスキャン、コンテナイメージの検査を開発パイプラインに組み込むことで、脆弱性や設定ミスを本番環境に持ち込む前に検出・修正します。問題を上流で解決できるため、修正コストを大幅に抑えられる点が大きなメリットです。

一方のシールドライトは、本番環境をリアルタイムで保護するアプローチです。ランタイム監視や異常検知、自動対応の仕組みを稼働させることで、開発段階では想定できなかった脅威や、実行時に初めて顕在化する攻撃に対応します。開発段階での対策を徹底していても、本番環境での監視を怠れば防御に大きな穴が生まれてしまいます。

そして重要なのは、この二つを別々の仕組みとして運用するのではなく、一貫したポリシーと可視性のもとで統合することです。開発から本番運用までを一つのセキュリティの流れとして管理するアーキテクチャ――それがCNAPP(Cloud-Native Application Protection Platform)の本質です。シフトレフトとシールドライトの両輪を連携させることで、クラウドネイティブ環境における実効性の高い防御が実現します。

ゼロトラスト原則の徹底

「社内ネットワークは安全である」「一度認証したユーザーは信頼できる」――こうした前提は、もはや通用しません。クラウド利用やリモートワークが当たり前となった現代において求められるのは、すべてのアクセスを継続的に検証するゼロトラスト原則の実装です。

その中核となるのは、「誰が、どのリソースに対して、何をしているのか」を常時可視化し、記録することです。アクセスの実態を継続的に把握することで、不審な挙動を早期に検知し、侵害の拡大を食い止めることが可能になります。あわせて重要なのが最小権限の原則(Least Privilege)です。ユーザーやシステムには必要な操作に対して必要最小限の権限のみを付与し、不要になった権限は速やかに剥奪する運用を徹底します。過剰な権限を放置しないことが、侵害発生時の被害範囲を限定する有効な手段となります。

ただし、ゼロトラストは特定のセキュリティ製品を導入するだけで実現できるものではありません。ツールはあくまで手段であり、IDやアクセスの実態をリアルタイムに把握し続ける運用体制こそが、その本質です。技術と運用の両面を継続的に組み合わせることで、ゼロトラストの考え方は初めて実効性を持ちます。

対策の種類と選び方

クラウドセキュリティのソリューションは複数のカテゴリに分かれており、それぞれが異なる役割を担いながら互いを補完しています。ツールを選定する前に、まず自社環境の課題がどのレイヤーに存在するかを整理することが、効果的な対策への近道となります。

主要なソリューション

  1. CSPM(クラウドセキュリティポスチャ管理)
    クラウドアカウント全体の設定ミスを継続的にチェックするもので、ポスチャ管理の基盤となります。

  2. CWPP(クラウドワークロード保護プラットフォーム)
    サーバーやコンテナ、Kubernetesといったワークロード内部の挙動を監視し、ランタイム保護の中核を担います。

  3. CIEM(クラウドインフラストラクチャエンタイトルメント管理)
    IAMをはじめとするアイデンティティ全体を対象に過剰権限の削減と最小権限の維持を実現し、横断的な権限ガバナンスを提供します。

  4. CDR(クラウド検知・対応)
    マルチクラウド環境全体をリアルタイムで監視し、脅威の検知と対応を統合的に行うもので、迅速なインシデント対応を実現する鍵となります。

ソリューションの選び方

ソリューションを選定する際には、いくつかの実務的な観点から評価することが重要です。

まず確認すべきは、マルチクラウドへの対応です。AWS・Azure・GCPといった複数のクラウド環境を一元的に管理できるかどうかを確認します。クラウドごとに異なるツールを使い分ける構成では、管理上の「視点の断絶」が生まれ、重要なリスクを見落とす可能性が高まります。

次に重要なのが、開発ワークフローとの統合です。GitHub ActionsなどのCI/CDパイプラインに組み込めるか、また開発者の作業を妨げない設計になっているかを確認する必要があります。セキュリティが開発プロセスと自然に連携していなければ、実運用で定着させることは困難になります。

アラートの精度も重要な評価軸です。大量のアラートを生成するだけのツールでは、運用担当者の負担を増やすだけになりかねません。重要なのは、脆弱性やリスクの優先順位付けと、その背景情報(コンテキスト)を提示できるかどうかです。

さらに、ランタイムの可視性も欠かせません。設定チェックだけでなく、本番環境で実際に発生している挙動をリアルタイムで把握できることが、現代のクラウドセキュリティでは重要になります。

加えて、コンプライアンス対応の観点も確認しておく必要があります。SOC2、ISO27001、PCI DSSなどの要件に対する証跡(エビデンス)の収集が自動化されているかどうかは、運用効率に大きく影響します。

本質的には、リアルタイムの可視性が重要

ここまで様々な対策を見てきましたが、すべての対策の実効性を左右する「根本」となる要素があります。それが「リアルタイムの可視性」です。

「後日ログを見る」では遅すぎる

クラウド環境におけるセキュリティ監視では、「後からログを確認すればよい」という発想はもはや通用しません。その理由は、攻撃のスピードが根本的に変化しているためです。

Sysdigの調査によれば、クラウド環境への攻撃は平均10分以内に完結するとされています。一方、オンプレミス環境における侵害の平均滞留時間は16日間とされており、従来のセキュリティ運用はこの「16日」という前提のもとで設計されてきました。週次や日次のスキャンといった運用も、その延長線上にあります。しかし、攻撃が10分で完結するクラウド環境に対して、こうしたモデルをそのまま適用することは、明らかなミスマッチと言えるでしょう。

さらに、データ侵害の平均コストは445万ドル(約6億円以上)に達するとされています。このことを踏まえれば、検知の遅れが直接的な経済損失につながることは明らかです。

こうした状況においては、脅威をリアルタイムで検知し、迅速に対応できる仕組みへの転換が不可欠です。クラウドセキュリティにおけるリアルタイム監視は、もはや理想論ではなく、クラウド環境を安全に運用するための最低限の要件となっています。

実行時(Runtime)の洞察が鍵

設定のチェック(静的分析)と、稼働中のシステム挙動を監視する仕組み(動的分析)は、まったく異なる情報を提供します。この二つを混同したまま運用していると、セキュリティに大きな死角が生まれます。

静的分析で把握できるのは、主に設定上の問題です。構成ミスや過剰な権限といったリスクを事前に洗い出すうえでは有効ですが、「今まさに進行している攻撃」を検知することはできません。たとえ攻撃者がすでにシステム内部で活動していたとしても、設定ファイルや構成情報を確認しているだけでは、その兆候を捉えることはできないのです。

こうした限界を補うのが、ランタイムインサイトによる動的な監視です。プロセスの起動、ネットワーク通信、ファイルアクセス、システムコールといった実際の挙動をリアルタイムで観測することで、通常とは異なる動作を即座に検知できます。さらに、実際に使用されているリソースや権限、通信経路の実態を把握することで、脆弱性対応の優先順位付けにも大きく役立ちます。理論上のリスクではなく、実際の稼働状況に基づいた判断が可能になるため、対応の精度と効率が大きく向上します。

静的分析と動的監視は、どちらか一方で十分なものではありません。両者を組み合わせることで初めて、クラウド環境のセキュリティ状況を立体的に把握できるようになります。

リスクベースの優先順位付け

現代のクラウド環境では、CSPMや脆弱性スキャナーが生成するアラートが数千件に及ぶことも珍しくありません。しかし、それらすべてに同じ優先度で対応することは現実的ではなく、むしろ対応チームのリソースを無駄に消耗させる恐れがあります。

重要なのは、「今すぐ対処すべき真の脅威」と「将来的に対応すべきリスク」を明確に区別することです。そのために有効なのが、ランタイムインサイトの活用です。実際に悪用されている脆弱性や、現実に利用されている過剰権限に焦点を当てることで、対応の必要がないノイズを大幅に削減できます。Sysdigの実績では、このアプローチによりアラートのノイズを最大98%削減できるとされています。

さらに、攻撃者の視点から「どの経路で侵入し、どこまで被害が拡大する可能性があるのか」をAttack Graph(攻撃グラフ)として可視化することも、優先順位付けの精度を高めるうえで有効です。脅威の連鎖と影響範囲を視覚的に把握することで、対応の優先順位を組織全体で共有しやすくなり、限られたリソースを本当に重要な箇所に集中させることが可能になります。

こうした可視化と優先順位付けの仕組みがあって初めて、セキュリティチームは膨大なアラートの中から本当に対処すべきリスクに集中できるようになります。

Sysdig CNAPPがこの課題に応える

ここまで見てきた課題——脅威の高速化、リアルタイム検知の必要性、アラートの優先順位付け——に対し、Sysdigはランタイムインサイトを中核とするCNAPPという一貫したソリューションを提供しています。

次に、その具体的な仕組みを見ていきましょう。

一気通貫のCNAPPプラットフォーム

CSPM・CWPP・CIEMをそれぞれ別々のツールで管理すると、ツール間に「隙間(サイロ)」が生まれ、そこに脅威が潜むリスクが高まります。各ツールが断片的な情報しか持たないため、全体像の把握が難しくなり、インシデント対応も遅れがちになります。

Sysdigは、これらの機能を単一のプラットフォームに統合することで、この課題を解消します。開発フェーズにおけるIaCスキャンやコンテナイメージの検査から、本番環境でのランタイム監視まで、システムのライフサイクル全体を一貫した可視性のもとで管理できます。

さらに、クラウドサービス、コンテナ、Kubernetes、サーバーレス、AIワークロードといった多様な環境を横断的に可視化できるため、環境ごとに視点が分断されることなく、統一された視野でセキュリティ状況を把握できます。

また、AWS・Azure・GCPといったマルチクラウド環境も単一のダッシュボードで管理可能です。複数のツールや画面を行き来する必要がなくなり、運用チームは本来注力すべき脅威の検知と対応に集中できます。

このように、プラットフォームの統合は単なる利便性の向上にとどまりません。可視性の断絶を解消し、見落としのリスクを構造的に減らすという点で、セキュリティの実効性を高める根本的なアプローチといえます。

ツールを増やすことではなく、可視性を統合すること——それがクラウドセキュリティの実効性を高める鍵となります。

Falcoベースの強力なリアルタイム検知

Sysdigのリアルタイム検知エンジンの中核を担うのが、CNCF(Cloud Native Computing Foundation)により承認されたオープンソースプロジェクト Falco です。

Falcoは、クラウドネイティブ環境におけるランタイム脅威検知の分野で業界標準の技術として広く認知されています。Linuxのシステムコールレベルでプロセスの挙動を監視し、特権昇格、コンテナエスケープ、不審なネットワーク接続などの異常なアクティビティをミリ秒単位で検知します。

オープンソースであることの大きな強みは、その透明性と継続的な進化にあります。検知ロジックがブラックボックスにならないため、セキュリティ担当者自身がルールを確認・検証できるほか、グローバルなコミュニティによってルールが継続的に更新されることで、常に最新の脅威に対応できるエコシステムが形成されています。

Sysdigは、このFalcoを基盤として、さらに高度な検知能力を実装しています。正常な状態からの逸脱を検知するドリフトコントロールと機械学習を組み合わせることで、既知の攻撃手法だけでなく、これまで観測されていない未知の攻撃にも対応可能です。

さらに、Sysdigの脅威リサーチチームが最新の攻撃手法を継続的に分析し、その知見をFalcoのルールとして迅速に反映しています。こうした仕組みにより、Sysdigは脅威を2秒以内に検知するという実績を公表しています。

Falcoを基盤としたこのリアルタイム検知アーキテクチャこそが、Sysdigのランタイムセキュリティの中核を支えています。

AIによる対応支援:Sysdig Sage™

大量のアラートへの対応という運用現場の課題に応えるため、Sysdigはクラウドセキュリティに特化したAIアナリスト 「Sysdig Sage」 を提供しています。

Sysdig Sageの大きな特徴は、インシデントの全体像を自然言語で即座に説明できる点にあります。「誰が・何を・いつ・どこで・どのように行ったのか」といった攻撃の文脈を、専門知識がなくても理解できる形で提示することで、状況把握にかかる時間を大幅に短縮します。

さらに、複数のシグナルを横断的に相関分析することで、個々のアラートを単独で見ているだけでは気づけない「攻撃の連鎖」を可視化します。一見無関係に見える複数の異常が、実際には一連の攻撃シナリオの一部であることを明らかにできる点が、Sysdig Sageの核心的な価値です。

また、Sysdig Sageは検知だけでなく対応までを支援します。隔離、権限の剥奪、ルール更新といった具体的な対処アクションに対して「次に取るべき一手」を提示することで、担当者が迷うことなく迅速に対応できる環境を整えます。

アラートの洪水に飲み込まれることなく、本当に重要な脅威に集中して対処できる——Sysdig Sageは、そのための実践的な支援ツールといえます。

セキュリティ運用を「アラート処理」から「脅威対応」へと進化させる——それがSysdig Sageの目指す役割です。

「5分間の戦い」に勝つための実績

Sysdigは、攻撃者が侵入から目的達成まで10分以内というスピードに対し、555ベンチマーク——「5秒検知・5分トリアージ・5分対応」——の達成を支援するプラットフォームとして設計されています。

2026年、クラウドセキュリティの担当者が今すべきこと

AI時代のクラウドセキュリティ脅威は、その速度・巧妙さ・多様性において従来とは次元が異なります。しかし、適切な知識と戦略があれば、確実に対応できます。

チェックリスト:今すぐ確認すべき3つの問い

  1. 今この瞬間、自社のクラウド環境で何が起きているか、リアルタイムで把握できていますか?
    できていない場合、攻撃が10分で完結する現実に対してノーガードです。

  2. 脆弱性やアラートの優先順位付けに、ランタイムの実態(実際に使われているか)を活用できていますか?
    全件対応は非現実的。「本当に危険なもの」に集中する仕組みが必要です。詳しくは、Sysdig Secureによるアラートと検知の優先順位付け や、アラート対応からエンジニアを解放せよを ご覧ください。

  3. 開発(シフトレフト)と運用(シールドライト)が分断していませんか?
    ツールのサイロ化は、脅威が潜む「隙間」を生み出します。

詳しくは、Shift-leftとShield-rightの実践によるサイバーセキュリティの強化 をご覧ください。

Sysdigは、「リアルタイム可視性」「Falcoによる高精度検知」「AIによる対応加速」の三位一体で、クラウドセキュリティの「正しいやり方」を実現します。

About the author

Security for AI
モニタリング
コンテナ、Kubernetes、ホストのセキュリティ

セキュリティの専門家と一緒に、クラウド防御の最適な方法を探索しよう