クラウドの脆弱性トップ11とその軽減策
セキュリティチームは、攻撃の防止と軽減において多くの業務を抱えています。そうした攻撃の多くは、よく見られるクラウドの脆弱性を悪用したものです。そのため、どのような脆弱性が存在し、どのように対処すべきかを理解することが重要です。
セキュリティ体制を強化するために、これらのクラウドの脆弱性に対処する
クラウドにおけるデータ漏洩や悪意ある攻撃の多くは、脅威アクターがよく見られるクラウドの脆弱性を悪用することによって発生しています。これは、重大な脆弱性がいかに多く存在し、その修正にどれだけの時間がかかるかを踏まえると当然のことです。
本記事で取り上げる脆弱性は、クラウドセキュリティにギャップを生じさせるものであり、設定ミス、不十分なID管理、共通脆弱性識別子(CVE)などが含まれます。
そのため、どのようなクラウドの脆弱性やリスクが存在するのかを理解し、それらを軽減・防止するためにできる対策を知っておくことが重要です。最後に、クラウドの脆弱性を減らすための一般的なベストプラクティスもご紹介します。
1. 設定ミス
設定ミスは、あらゆるセキュリティ担当者にとって頭痛の種です。ストレージやS3バケットを公開状態にしてしまうことから、ファイアウォールルールの不適切な実装まで、設定ミスは残念ながらセキュリティインシデントの一般的な原因となっています。
Verizonの「2025年版データ漏洩調査報告書」によると、エラーに起因するデータ漏洩のうち約30%が設定ミスによるものでした。これには、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワークにおける設定ミスが含まれます。
設定ミスの原因は、多くの場合、ヒューマンエラー、経験不足のチーム、複雑なクラウドインフラといったいくつかの要因に起因します。ちょっとした入力ミスがデータ漏洩につながることもあります。
よく見られるクラウドの設定ミスには、以下のようなものがあります。
- 外部に公開されたストレージやインフラ:ビジネスにとって重要なデータが、誤って、あるいは適切なセキュリティ対策を施さずにS3バケットなどのクラウドストレージに保存されたまま放置されてしまうケースはあまりに多く見られます。ID認証企業のPersona社は、最近、ダッシュボードのコードベース全体が外部に公開されていたことが判明しました。
- ICMPアクセスの開放:インターネット制御メッセージプロトコル(ICMP)はIPネットワークのエラー報告を管理しますが、攻撃者はこれを分散型サービス拒否(DDoS)攻撃の攻撃ベクトルとして利用することがあります。
- 公開されたKubernetesクラスター:etcdが使用するTCPポート2379への無制限のアクセスなどが含まれ、攻撃者が構成データを読み取り、コピー、改ざん、削除できてしまう可能性があります。
- 無制限のアウトバウンドポート:アウトバウンドトラフィックの制限は、インバウンドトラフィックの制限と同様に重要です。攻撃者やインサイダー(内部関係者)による脅威は、開放されたアウトバウンドポートをデータの持ち出しに利用することがあります。
- 管理が不十分なシークレット:暗号化や強固なパスワードを導入することは重要ですが、それらがGitHubリポジトリやHTMLコード内、あるいは外部に公開されたクラウドストレージに保存されていれば、攻撃者にデータやシステムへの簡単なアクセスを許してしまうことになります。
クラウドの設定ミスを軽減する方法
設定ミスを減らし、攻撃者に悪用される前にそれを発見するためには、まず監視とログ記録を導入することから始めましょう。設定ミスを可視化するために、クラウドの監視状況を常に把握しておくことが重要です。
監視を行うことで、セキュリティチームは古くなったサービスや使われていないサービス、一時的なワークロード、クラウドデータストレージなどを見つけやすくなります。特定できたら、古いコンテナや使われていないワークロードを停止し、攻撃ベクトルを減らしましょう。
監視と並行して、定期的なセキュリティ監査を実施し、設定ミスや使われていないストレージ、アカウント、その他のリソースを特定しましょう。クラウドデータの保存方法やワークロードのスケールアップ方法についてセキュリティポリシーを策定し、適切なアクセスのベストプラクティスの利用を義務付けることも重要です。
作業負荷を減らすために、可能な限り自動化やツールを導入しましょう。クラウドセキュリティポスチャー管理(CSPM)ソリューションを使えば、設定ミスやコンプライアンス違反、脆弱性などについてクラウド環境を継続的に監視できます。
クラウド環境によっては、Kubernetesセキュリティポスチャー管理(KSPM)やデータセキュリティポスチャー管理(DSPM)といった、より専門的なツールを導入することも検討できます。
上記で触れた設定ミスに対する、より具体的な軽減策には以下のようなものがあります。
- ファイアウォールルールとアクセスコントロールリスト(ACL)を導入し、許可されたホストやIPアドレスのみにアクセスを制限することで、TCPポートを保護する。
- ファイアウォールルールを使ってICMPのpingリクエストをブロックし、ルーターのフィルタリングによって不審なIPアドレスからのパケットを拒否することで、ICMPを保護する。
- AWS IAM(Identity and Access Management)ユーザーに対するポリシーの導入、S3バケットポリシー、AWS Organizationsのサービスコントロールポリシーおよびリソースコントロールポリシーによって、S3バケットを安全に保つ。
- HashiCorp Vault、AWS Secrets Manager、Google Cloud Secret Managerなど、安全なシークレット管理ツールを使用して、パスワードやAPIキーなどのシークレットを保護する。
2. 不十分または脆弱なIAM管理
組織がクラウドへ移行し、クラウド環境を構築する際、データやアプリケーションへのアカウントアクセスの決定について、十分に検討されないことがあります。多くのクラウドインシデントは、認証・認可の仕組みが不適切なアカウントに攻撃者がアクセスすることから始まります。
一つの結果として、一部または全てのアカウントが必要以上の権限を持つことになりかねません。過剰な権限は、インサイダー(内部関係者)による脅威につながったり、権限が適切に制限されている場合よりも攻撃者がクラウドデータへ広範にアクセスできるようになったりする可能性があります。
認証や認可の方法が不十分または脆弱な場合も、IAMの取り組みが脆弱になり、脅威アクターがアクセス制御を回避して、通常の権限しか持たないユーザーアカウントであっても権限を昇格させてしまう可能性があります。
脆弱なアクセス制御の例としては、単一要素認証のみの使用、そうしたアカウントへのパスワードリセットメールの送信、強固なパスワードポリシーやベストプラクティスの未導入などが挙げられます。
脆弱なIAM管理を軽減する方法
まず、ロールベースアクセス制御(RBAC)を導入し、クラウド上の各ロールに適切な認可レベルを設定しましょう。最小権限の原則(PoLP)を活用し、各アカウントにはその役割の遂行に必要な権限のみを与え、それ以上の権限は与えないようにします。
管理者アカウントの数は数個に限定し、あるアカウントがロックアウトされても別の管理者が対応できるようにしましょう。管理者アカウントの数を少なく保つことで、攻撃者の機会を減らすことができます。
以下のような強固なパスワード管理習慣とポリシーを導入することで、アカウントのセキュリティを強化しましょう。
- 必ずしも複雑でなくても、より長いパスワードを要求する(複雑すぎるとユーザーが忘れてしまうため)。
- よく使われる、あるいは推測されやすいパスワードのブロックリストを作成する。
- 多要素認証(MFA)、フェデレーテッドID、パスワードマネージャーを活用し、ログイン時のユーザーの手間を減らしつつ、アカウントのセキュリティを向上させる。
オンプレミス向けの従来型IAMツールの多くはクラウドでも利用可能ですが、クラウド環境が複雑になるほど、その効果は薄れていきます。クラウドIDに対するより深い可視性とセキュリティを実現するために、クラウドインフラストラクチャ権限管理(CIEM)ソリューションの導入を検討する価値があります。
3. コードの脆弱性
コードの脆弱性は、不適切なコーディング手法、不十分な入力値検証、そしてソフトウェア開発ライフサイクルにセキュリティが組み込まれていないことから生じます。これにより、攻撃者に悪用される脆弱性が生まれる可能性があります。
よく見られるコードの脆弱性には以下のようなものがあります。
- SQLインジェクション:攻撃者がSQLクエリに悪意のある入力を行うことで、データベースの操作、データの漏洩、認証のバイパスなどが発生する可能性があります。
- クロスサイトスクリプティング:XSS攻撃は、脅威アクターがウェブサイトに悪意のあるスクリプトを入力し、それが被害者のブラウザ上で実行されることで発生します。これにより、脅威アクターは被害者になりすましたり、セッションクッキーを収集したりすることが可能になります。
- バッファオーバーフロー:攻撃者がプログラムが処理できる量を超えるデータを入力すると、そのデータが隣接するメモリ領域に溢れ出し、そこに保存されているデータを攻撃者が上書き・破壊できるようになります。
これらのコードの脆弱性はよく知られているにもかかわらず、依然として頻発し、攻撃を成功させています。MITREの「CWE 2025年版:最も危険なソフトウェアの弱点」リストには、不適切な入力値検証やアクセス制御とともに、XSSやバッファオーバーフロー攻撃の複数のバリエーションが含まれています。
よく見られるコードの脆弱性を軽減する方法
コードの弱点や脆弱性を防止・阻止するためには、組織は開発時に安全なコーディング手法を導入し、自動化ツールを使ってよく見られる脆弱性をスキャンする必要があります。
開発者は、セキュアソフトウェア開発ライフサイクル(SSDLC)を活用し、開発の各段階に適切なセキュリティ対策と管理を組み込む必要があります。これにより、潜在的なリスクを考慮し、アプリのリリース前に潜在的な攻撃ベクトルを特定・修正することができます。
SSDLCの活用に加えて、開発者は以下のような手法を用いることで、コードの脆弱性を防止・軽減できます。
- Infrastructure as Code(IaC)スキャン。
- ランタイムセキュリティ。
- 動的アプリケーションセキュリティテスト(DAST)。
- データの暗号化。
- ユーザー入力値の検証とデータのサニタイズ。
4. コンテナおよびイメージの脆弱性
クラウドワークロードの多くがコンテナやKubernetes(K8s)を活用するようになっており、特にAIや生成AI向けのワークロードでその傾向が顕著です。コンテナセキュリティが不適切な場合、攻撃者は保存されたデータを盗み出したり、コンテナから脱出(エスケープ)してシステム内を横方向に移動したりすることが可能になります。
2025年11月、runcに関する3件のCVEにより、攻撃者はカスタムマウント設定でコンテナを起動し、セキュリティ制限を回避できる状態になっていました。
時間が経つにつれ、安全でないライブラリや依存関係が使われ続け、パッチが適用されないままだと、コンテナイメージは古くなり、攻撃に対して脆弱になっていきます。さらに、そのベースイメージを実行しているすべてのコンテナが脆弱な状態になります。
攻撃者は、正規のイメージに似た名前を使う(タイポスクワッティング)ことで、悪意のあるイメージを公開コンテナレジストリにアップロードすることさえあります。注意を払っていない管理者は名前のわずかな違いに気づかず、悪意のあるイメージをデプロイしてしまう可能性があります。
コンテナおよびイメージの脆弱性を軽減する方法
コンテナやイメージの脆弱性を発見する最初のステップは、それぞれをスキャンし、既知のCVEと比較することです。CI/CDパイプラインにセキュリティスキャンを組み込むことで、コードの変更後にチェックすることができます。しかし、この方法で特定できるのは既知の脆弱性のみです。
ゼロデイやその他の未知の脆弱性を発見するには、コンテナランタイムセキュリティを導入する必要があります。ランタイム検知により、静的解析やスキャンでは見逃されていた隠れた悪意のあるイメージが追加で10%発見されました。
ランタイムセキュリティソリューションは、コンテナの異常な振る舞いを監視し、構成の変更や問題を発見し、シークレット管理ツールやセキュリティ情報イベント管理(SIEM)ソリューションと連携して動作します。
Kubernetesはネイティブでは十分なランタイムセキュリティを提供していないため、ランタイムセキュリティツールを導入することで、K8sのログを分析し、アクセス制御やリソース使用に関するセキュリティポリシーを適用できるようになります。
K8sのランタイムセキュリティを強制するオープンソースツールには、Seccomp、SELinux、AppArmorなどがあり、FalcoはK8sの監査ログに基づいた脅威検知を提供できます。
最後に、コンテナセキュリティのベストプラクティスとして、Center for Internet Security(CIS)によるDockerセキュリティベンチマークを活用しましょう。Sysdigの2025年版クラウドネティブセキュリティおよび利用状況レポートによると、基礎的かつ詳細なベンチマークの活用は、全体的なセキュリティおよびコンプライアンス体制の向上につながることが示されています。
5. 安全でないAPI
クラウドは、異なるツールやアプリケーションを接続し、安全にデータを交換・通信するためにAPIに依存しています。APIは非常に強力であるため、攻撃者は現在頻繁にAPIを標的にしています。
脆弱な認証・認可プロトコルや、パッチが適用されていない脆弱性により、攻撃者はAPIを利用して機密データを盗み出すことが可能になります。例えば、2024年のSnowflakeのデータ漏洩では、攻撃者は未修正の脆弱性を利用して、データや顧客の個人を特定できる情報(PII)にアクセスしました。
その他の攻撃例としては、セッションハイジャックのためにGoogleのOAuth APIを悪用したもの、フィッシングを行うためにDocusignのAPIを悪用したもの、そしてDDoS攻撃によってAPIに過剰なリクエストを送りつけるものなどが挙げられます。
APIの脆弱性を軽減する方法
まずはAPIセキュリティスキャンツールを使用して、未修正の脆弱性や設定ミスを発見することから始めるとよいでしょう。定期的なスキャンをスケジュールしてAPIの脆弱性を特定するか、利用可能なツールに応じて継続的なスキャンを自動化しましょう。
APIファジングを導入し、パラメータに予期しない値が渡された際のAPIの処理能力や動作をテストしましょう。
APIを保護するその他の方法には、以下のようなものがあります。
- Webアプリケーションファイアウォール(WAF)を使用して、悪意のあるトラフィックを監視・フィルタリングする。
- APIが安全でなくなったり脆弱になったりした場合でもデータを保護できるように、データを暗号化する。
- APIキー、OAuth 2.0、JSON Web Token(JWT)などのAPI認証を導入する。
- レート制限を活用し、攻撃者が過剰なリクエストでAPIを圧倒することを防ぐ。
- API監査ログを導入し、セキュリティの脆弱性やインシデントの監視・特定を支援する。
6. シャドーIT
従業員は、特定のアプリケーションやサービス(SlackとMicrosoft Teamsなど)を、使い慣れているから、あるいは承認済みのソフトウェアが使いにくいからという理由で好むことがよくあります。こうなると、IT部門の管理範囲外でソフトウェアが利用される状態になり、セキュリティインシデントやコンプライアンス違反のリスクが生じます。
シャドーITは長年の課題でしたが、リモートワークの普及によってこの問題はさらに悪化しました。従業員がこの未承認のアプリケーションに機密データを保存してしまう可能性や、そのアプリが企業利用に見合う十分なセキュリティを備えていない可能性があります。
未承認のアプリケーション利用は、データの漏洩、データストレージの可視性の低下、そして組織の攻撃対象領域の拡大につながる可能性があります。
シャドーITを軽減する方法
シャドーITを減らす最善の方法は2つあります。従業員への教育と、IT利用状況の可視化です。
コミュニケーション用途であれ、クラウドストレージ用途であれ、未承認のアプリケーションを利用することが組織にどのようなリスクをもたらすかを、従業員が理解できるよう教育しましょう。
未承認のアプリケーションやハードウェアの利用を防止・抑制するためのポリシーを従業員向けに策定しましょう。ただし、従業員が業務を遂行するために何を必要としているのか、そして現在承認されているアプリがその要件を満たしているかどうかを把握し、折り合いをつける努力もしましょう。
従業員が好むアプリを組織として導入し、安全に管理できるかどうかを検討しましょう。IT部門に相談できることを従業員が理解していれば、独自にツールをインストールする可能性は低くなります。
次に、セキュリティチームがクラウド環境やワークロードを監視し、未承認のアプリケーションや依存関係がないかを確認しましょう。クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム(CNAPP)のようなセキュリティツールを使えば、クラウド環境の自動スキャンと可視化が可能になります。
7. 不十分な監視とログ記録
組織がさまざまなクラウドツールを導入するにつれ、監視とログ記録はより難しくなっていきます。クラウドワークロードやアクティビティに対する可視性が限定され、潜在的なセキュリティ脆弱性、設定ミス、インシデントの発見が遅れてしまいます。
不十分なログ記録は、クラウドユーザーが何を行っているかの把握を困難にし、意図せずインサイダー(内部関係者)による脅威を見えにくくしてしまう可能性があります。
コンテナや仮想マシン(VM)のような一時的なワークロードを組織が起動・停止する際に、適切な可視性が確保されていないと、データ漏洩のリスクが高まります。Sysdigの2025年版利用状況レポートによると、コンテナの60%は1分以内で消滅します。こうした短命なワークロードを安全に保つには、リアルタイムの監視とログ記録が必要です。
可視性とログ記録の不足を軽減する方法
集中的かつ継続的な監視を導入することで、クラウドワークロードや環境への可視性が向上し、セキュリティチームが脆弱性や設定ミスを発見・修正しやすくなります。
複雑なクラウドインフラに対してリアルタイムの可視性とログ記録を実現する、集中型の監視ソリューションを導入しましょう。
クラウドリソースやツールを定期的に見直し、技術の統合を検討しましょう。使用するツールやアプリケーションの数を減らすことで、可視性が向上し、使われていない場所や忘れられた場所に機密データが保存されるリスクを減らすことができます。
CNAPPソリューションを導入することで、データのサイロ化やツールの分散を解消できます。ランタイムを重視したCNAPPであれば、クラウド環境への継続的な可視性を提供し、可視性の不足を減らし、脆弱性管理を改善できます。
8. マルチクラウドおよびハイブリッドクラウドの複雑さ
データやその他の重要なリソースに対する効果的な監視やセキュリティが、分散したクラウドツールやワークロードによって妨げられることがあるように、複雑なマルチクラウドやハイブリッドクラウド環境も同様の問題を抱えることがあります。
クラウドサービスプロバイダー(CSP)は自社のクラウドサービスに対するセキュリティを提供していますが、通常、それは他のクラウドには及びません。そのため、保護が不十分になったり、接続にギャップが生じたりする可能性があります。
より複雑なクラウド環境では可視性の確保が課題となり、環境間でのポリシーの不一致、アクセス制御の不統一、シャドーITにつながる可能性があります。セキュリティポリシーは、異なるパブリッククラウド間や、オンプレミスのインフラを併用している場合には機能しないことがあります。
クラウドごとにIAM、監視、セキュリティ機能が異なるため、設定ミスやデータ漏洩の可能性が高まります。すべてのクラウドサービスが問題なく連携するわけではないため、これもセキュリティギャップの新たな原因となります。
マルチクラウドやハイブリッド環境では、PCI DSS、HIPAA、DORA、GDPRといったさまざまな規制へのコンプライアンスを維持することも難しくなります。
マルチクラウドおよびハイブリッドクラウドの複雑さを軽減する方法
監視とログ記録の課題と同様に、複雑なクラウド環境には、特定のクラウドに依存しない集中型のセキュリティ・監視ソリューションが効果的です。
例えば、SIEMツールを使用して各クラウド環境からログを収集し、CNAPPやCSPMソリューションを使って設定ミス、コンプライアンス違反、セキュリティポリシー違反を監視することができます。
各クラウドで個別のポリシーを管理しようとするのではなく、ポリシーアズコードを活用してセキュリティポリシーを一元管理しましょう。ポリシーアズコードは、認可制御、K8s制御、インフラのプロビジョニングにも活用できます。
セキュリティチームの負担を軽減するために、セキュリティアラートや脅威検知など、可能な部分には自動化を取り入れましょう。
ゼロトラストアーキテクチャを導入し、すべてのクラウド環境を単一の方法論のもとで保護しましょう。「決して信頼せず、常に検証する」という考え方は、複雑なクラウド環境にも効果的に機能します。
9. 不十分なデータ保護
保存中であれ転送中であれ、データは安全に保つ必要があります。データが暗号化されていなければ、特に不適切に設定されたクラウドストレージにある場合、攻撃者は機密データを閲覧・持ち出すことが可能になります。
暗号化の設定に誤りがあったり、鍵管理が不適切であったりすると、機密データはリスクにさらされたままになります。不適切な鍵管理の例としては、鍵のローテーションを行わない、HTMLやソースコードに鍵をハードコーディングする、アクセス制御が不十分であることなどが挙げられます。
不十分なデータ保護を軽減する方法
当然のことですが、まず最初のステップは、データ漏洩が発生した後に攻撃者ができることを制限するために、保存中および転送中のデータを暗号化することです。
将来的に別の標準への移行が必要にならないよう、量子コンピューティングに耐性のある暗号標準について調査・導入を検討することをお勧めします。転送中のデータの暗号化にはHTTPSを使用しましょう。
適切なデータ暗号化を行っていれば、クラウドストレージやS3バケットの設定ミスがセキュリティインシデントに発展する可能性は低くなります。ただし、暗号化されたデータへアクセスできる人を制限するために、安全な認証を備えたクラウドストレージを構成しましょう。
データ保護を強化するその他の方法には、以下のようなものがあります。
- PoLPを活用し、従業員のアクセスを制限する。
- MFAと強固なパスワードポリシーを導入する。
- 監視・ログ記録ソリューションを導入し、不審または異常な行動を発見する。
- フィッシングやその他の一般的な攻撃、適切なデータ保存方法について従業員を教育する。
- ハードウェアセキュリティモジュール(HSM)ソリューションを使用して、暗号鍵を安全に保つ。
10. パッチが適用されていないソフトウェアやシステム
絶え間なく発生するパッチに対応し、それを組織全体に展開し続けることは容易ではありません。ソフトウェアやシステムに適時にパッチを適用することで、攻撃者が重大な脆弱性を悪用する可能性を減らすことができます。
組織は、CVEが公開されてからパッチが適用されるまでの間、脆弱な状態にさらされ続けます。Verizonの「データ漏洩調査報告書(DBIR)」によると、脆弱性へのパッチ適用(実施される場合)にかかる時間は、チームの中央値で32日でした。
AIの台頭により、脅威アクターは概念実証(PoC)攻撃や実際に機能するエクスプロイトを非常に短時間で作成し、脆弱な環境に対して使用できるようになっています。パッチが適用されていないクラウドの脆弱性への対応において、セキュリティチームにはもはや時間的余裕はありません。
パッチ未適用の脆弱性を軽減する方法
攻撃者がパッチ未適用の脆弱性を悪用するリスクを減らすには、組織はパッチ管理と脆弱性管理を導入する必要があります。自動化された脆弱性スキャンにより、組織はパッチが適用されていない脆弱性がどこに存在するかを把握できるようになります。
その後、発見された各脆弱性を評価し、稼働中のパッケージやソフトウェアに影響を与える可能性が最も高いものから優先順位付けしたリストを作成しましょう。公開されているCVEのすべてが自社に関係するわけではなく、また実際に悪用可能な弱点であるとは限りません。
脆弱性を特定したら、自社に影響が大きいと判断されたものについて担当を決め、そのチームに修正対応をさせましょう。完了後は、どこに脆弱性が存在し、どれだけ迅速に修正されたかを把握するためのレポートを作成しましょう。
自動化やエージェンティッククラウドツールを活用して、脆弱性の特定・修正・レポート作成を行いましょう。例えば、CNAPPソリューションには自動化された脆弱性管理機能が搭載されていることが多くあります。
11. サプライチェーンの脆弱性
ソフトウェアサプライチェーンは今、人気の攻撃ベクトルとなっています。なぜなら、自社が強固なセキュリティを備えていたとしても、自社のデータにアクセスできる第三者はそうではない可能性があるからです。
開発者は、アプリケーション開発を高速化するために、サードパーティのツール、ソフトウェアコンポーネント、依存関係への依存を強めています。こうしたサードパーティ技術に脆弱性があると、それが組織への攻撃ベクトルとなる可能性があります。
2025年、Shai-Huludワームは、JavaScriptランタイム環境Node.jsで人気の高いNPMパッケージマネージャーを標的にし、複数のリポジトリに感染しました。
サプライチェーンの脆弱性を軽減する方法
サードパーティの脆弱性が組織に及ぼす影響を防止・軽減するために、すべてのソフトウェアに対してソフトウェア部品表(SBOM)を作成しましょう。SBOMは、アプリケーションを構成するすべてのコンポーネント、依存関係、ライブラリの包括的な一覧を提供します。
自社でSBOMを作成するとともに、サプライヤーにもSBOMの提供を求めることで、どこでサードパーティのツールやソフトウェアを使用しているかを把握し、潜在的な脆弱性を監視できるようになります。
SBOMの活用と併せて、サードパーティの脆弱性によるインシデントを考慮したセキュリティ対策を実施し、ランタイムセキュリティを使って脅威を継続的に監視し、セキュリティをシフトレフトさせましょう。
脅威から組織を守る方法
組織が抱える重大な脆弱性の数には驚かされるかもしれませんが、それらに対応し、追いついていく方法はあります。
上記で紹介した、よく見られるクラウドの脆弱性に対する具体的な軽減策に加えて、一般的な脆弱性管理のベストプラクティスには以下のようなものがあります。
- 発見、優先順位付け、修正、報告という脆弱性管理のライフサイクルを実践する。
- 安全なソフトウェア開発ライフサイクルのために、セキュリティをシフトレフトさせる。
- 脆弱性スキャンとランタイムセキュリティを組み合わせる。
- ドリフト検知やポスチャー管理といった継続的コンプライアンスを導入する。
- RBACやMFAなど、強固なIAMを活用する。
- セキュリティチームと開発チームの作業負荷を減らすため、可能な限り自動化を進める。
- 脆弱性の優先順位付けを脅威インテリジェンスと連携させる。
- 効率的かつ効果的なパッチ管理戦略を策定する。
- 脆弱性が確実に修正されていることを確認するため、セキュリティテストを実施する。
- 脆弱性の発見、優先順位付け、修正、報告の方法についてのポリシーと手順を策定する。
- 脆弱性に対処するために、セキュリティチームと開発チームが連携する。
Sysdigでクラウドの脆弱性を発見・軽減する
攻撃者は、よく見られるクラウドの脆弱性が存在するようになった瞬間から、それを悪用しようと狙っています。組織の安全を確保し続けるためには、クラウドのスピードに合わせて動く必要があります。
Sysdigの脆弱性管理ソリューションを使えば、ランタイムインサイトによってセキュリティ脆弱性の背景にあるコンテキストを把握できます。各脆弱性がもたらすリスクを理解することで、自社に影響を与える可能性が最も高いものから優先的に修正対応できるようになります。
Sysdig Sageを活用した脆弱性管理により、脆弱性の優先順位付けと対応をさらに加速できます。Sageは対応スピードを高め、脆弱性にさらされる時間を数日から数分に短縮するのに役立ちます。
Sysdigを活用した正しい脆弱性管理の方法については、こちらをご覧ください。
